fullseye

フレームグラバーボード(光学系ではないが、撮れるかを決める)

光学が「必要なコントラストで写るか」を決めるのに対し、フレームグラバーは それを落とさずに運べるかを決める。高解像度・高速・ラインスキャンでは、 律速がセンサではなく伝送帯域になることが普通にある。

インターフェースの帯域(一次資料で確認した値)

規格 1 接続あたり 実用構成 備考
CoaXPress CXP-6 6.25 Gbps 1〜8 接続 同軸 1 本で電源(PoCXP)・制御・データ
CoaXPress CXP-12 12.5 Gbps 4 接続 = 50 Gbps = 5 GB/s 8 bit・16k ラインセンサを 300 kHz で回せる帯域
Camera Link Base 2.04 Gbps 24 bit × 85 MHz、コネクタ 1 本 旧来だが現役。ケーブルが太く短い(〜10 m)
Camera Link Medium 4.08 Gbps 48 bit、コネクタ 2 本  
Camera Link Full 5.44 Gbps 64 bit  
Camera Link Deca 6.80 Gbps 80 bit Camera Link の上限
Camera Link HS 3.125 Gbps/lane 複数 lane 長距離(光ファイバ可)
Opt-C:Link(アバールデータ独自) 6.25 Gbps/ch、2 ch 束ねて 12.5 Gbps 光ファイバ(コア 50 / 62.5 µm、クラッド 125 µm) 数百 m 延長可・ノイズに強い。画像・シリアル・トリガ・リンク・ユーザの 5 種パケットで制御まで光に載る。Camera Link カメラは変換ユニット(AOC-162 等)で接続
GigE Vision 1 / 5 / 10 / 25 GigE ケーブルが安く長い。CPU 負荷は高め

16k × 300 kHz × 8 bit ≈ 4.9 GB/s が CXP-12 ×4 の 5 GB/s にちょうど収まる、という 設計になっている。Vieworks VT シリーズ(TDI・最大 300 kHz)はこの帯域を前提にした製品。

主なメーカーと現行ボード

メーカー 製品 確認した仕様
Euresys Coaxlink Quad CXP-12 PCIe 3.0 x8、カメラ帯域 5000 MB/s、CXP-12 ×4
Euresys Coaxlink Quad CXP-12 JPEG 4 独立チャネル + ベースライン JPEG エンコーダ 250 Mpixel/s(ボード上で圧縮)
Euresys Coaxlink QSFP+ / Duo / Mono LH 1〜8 カメラ、CXP-6〜CXP-12 の幅で構成できる
Matrox Rapixo CXP(RAP8G4C12P602) CoaXPress 2.0、CXP-12 ×4、PCIe 3.1 x8、12.5 GB/s カメラ帯域、PoCXP
Teledyne DALSA Xtium2-CXP PX8 Quad CXP-12 ×4、カメラ帯域 5000 MB/s、PCIe Gen3 x8(バス 7000 MB/s まで)
BitFlow Claxon / Cyton CXP / Camera Link
Active Silicon FireBird CXP / Camera Link
Kaya Instruments Komodo CXP
アバールデータ APX-3312A / APX-3313A(Camera Link)、Opt-C:Link 系 Camera Link 対応ボードと、独自光 I/F の両方を持つ。国内の装置向けで強い
Euresys Grablink(Camera Link) CXP の Coaxlink と別系統で Camera Link を継続

なぜ仮想化で無視できないか

  1. 長距離が要るなら選択肢が絞られる。Camera Link は 10 m 級で頭打ちだが、 Opt-C:Link(光)なら数百 m。装置が大きい・電気ノイズが多い現場(溶接、 モータドライブの近く)では、帯域より先に距離とノイズ耐性で規格が決まる。
  2. エリアスキャンでは普通センサが律速。IMX541(20.3 MP・8 bit)は 1 枚 20.3 MB なので 5 GB/s なら理論 246 fps 出せるが、センサ自体が 18〜42 fps。→ 帯域は余る。
  3. ラインスキャン / TDI では帯域が律速になる。16k × 300 kHz で 4.9 GB/s を使い切る。 ラインレートを上げたいなら、まずボードとケーブルの本数の話になる。
  4. エンコーダ同期(ラインスキャン専用)。搬送速度とラインレートを同期させるのは グラバーの仕事で、ここがずれると画像の縦横比が崩れる。エリアスキャンには 存在しない故障モードで、光学をいくら詰めても直らない。
  5. ボード上の前処理。シェーディング補正・ビット詰め・JPEG 圧縮をボードでやると ホストの負荷が下がる。合成データで学習したモデルを載せるとき、 推論の前段にこの補正が入るので、学習データ側にも同じ補正を通すか、 補正前の生データで学習するかを決めておく必要がある。
  6. トリガのジッタ。パルス照明やストロボと同期する場合、ジッタが露光ばらつき= 明るさばらつきになる。ドメインランダム化の intensity_jitter は本来ここに根拠がある。

実装との接続

optscene.interface_budget() が、センサの画素数・ビット深度・インターフェースから 帯域律速の最大フレームレート / ラインレートを返す。センサ側の上限と突き合わせて 「どちらが律速か」を先に知るための op。